アジアの歌姫、王菲(フェイ・ウォン)を登場させた、王家衛(ウォン・カーウァイ)監督には珍しい軽いノリの青春映画。日本で大人気の金城武も登場するが、作品全体の出来は今ひとつ・・・?
映画の前半は、金髪女(ブリジット・リン)と失恋したばかりの刑事(金城武)との物語。そして後半は、これも恋人とうまくいかない警官(梁朝偉/トニー・レオン)と売店の売り子(王菲/フェイ・ウォン)との物語で、両者は全く関連のない別のストーリー。しかし、同じまち、同じ空間、そして同じ時間ということが共通しているから、そういう共通項の中で2つの全く異なる物語を描くというスタイルをとった映画。王家衛(ウォン・カーウァイ)監督は、こういうちょっと凝ったつくり方をするのが好きなのだろうが、観ている私には、特にそれがすごいとは思えないのだが・・・?
王家衛が、この『恋する惑星』の直前に監督したのが、『楽園の瑕』(94年)で、これは実にややこしいストーリーだった。そこで今度は、「ちょっと軽いノリで・・・」と思ってつくったのがこの映画のようだ。この映画は、私の青春時代に大流行した日活の青春映画のつくり方そのものという感じだから、単純にそのように楽しめばいいのだろう・・・?
この映画が面白いのは、何といっても、アジアの歌姫として紹介され、2002年10月9日に開催された日中国交正常化30周年記念の1つとして開催された日中友好芸能フェスティバルで、有名な『但願人長久』を歌っていた王菲を主役の1人として登場させたこと。もっとも、彼女は売店の売り子として登場して、鼻唄を歌ったり、ちょっとした踊りを見せたりしながら、来店する警官(梁朝偉)のお相手をするだけ。したがって、特に深いストーリーがあるわけではなく、私としては大いに不満・・・。
金城武は日本人俳優か香港人俳優かよくわからない存在だが、最近日本でも人気が急上昇して、テレビドラマにも出演している。私がこの金城武を観たのはこの映画がはじめて。ハンサムと言えばハンサムだが・・・?王家衛監督もこの映画ではじめて彼を起用したが、この金城武と金髪女との恋のストーリーも意味がよくわからず、もうひとつか・・・?
2004(平成16)年7月30日記