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ミッシング・ガン(2001年・中国・アメリカ映画)

鑑賞 2003(平成15)年3月27日
書く 2003(平成15)年3月27日

警察官が朝起きて、身支度をしている時、ガンホルダーに拳銃がないことに気づいた。さあ、大変。昨日は妹の結婚式で、したたかに酒を飲み、不覚にも記憶がない。誰かに盗まれたのだろうか・・・?まさかそんな・・・?この映画の主人公を演ずるのは、日本の狂気のような軍国主義を描いて大評判を呼んだ映画「鬼が来た」を自ら監督し熱演した中国の名優姜文(チアン・ウェン)。そう、これはハリウッド映画ではなく、中国映画であり、張藝謀(チャン・イーモウ)や陳凱歌(チェン・カイコー)ら第5世代に続く、第6世代の監督陸川(ルー・チューアン)による劇場映画のデビュー作だ。その出来は・・・?まずまずの出来、と言っておこう。

中国第6世代監督のデビュー

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ミッシング・ガンとは、文字通り、拳銃を失うこと。この映画は、自分の拳銃を失った刑事がこれを取り戻すための苦悩に満ちた姿を描いたサスペンス映画だが、ハリウッド映画ではなく中国映画。

中国で有名な張藝謀(チャン・イーモウ)や陳凱歌(チェン・カイコー)ら、いわゆる第5世代の監督に続く第6世代としてデビューした、まだ30才代の陸川(ルー・チューアン)監督初の劇場映画とのことだ。その製作と主演は、あの日本の軍国主義を赤裸々に描いて大評判になった『鬼が来た』(2002年)を監督し、かつ自ら主演した姜文(チアン・ウェン)だ。もっとも、2003年春、動物園前シネフェスタ4で公開予定だから、メジャーな映画にはなりそうもない作品だが・・・。

拳銃捜しのストーリー

主人公のマー・シャン(馬山)(姜文)は警察官。ある朝、マーは妻からたたき起こされ、身支度をしているとき、ガンホルダーの中に拳銃がないことに気がついた。慌てふためくマー。昨日は妹の結婚式でしたたかに酔ったため、どのようにして家に帰ったのかよく覚えていない。そこからマーの拳銃捜しが始まった。映画は約90分の長さながら、様々なストーリーを散りばめて、この拳銃捜しの物語をスリリングに展開していく。そのスピードや画面の切りかえはハリウッド映画そのもの。とても中国映画には思えない。ただ、主人公マーの存在感があまりに大きいため、紛れもなく中国の警察官だということはよくわかるが・・・。

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2人の女優

マーは、妻にも署長にも打ち明けられないまま、必死で失った拳銃を捜していた。そしてマーは、ホワイトハウスと呼ばれている白亜の豪邸に住むチョウ(石涼)を訪ねた。そしてそこで出会ったのはかつての恋人モン(寧静)だった。モンは離婚して、今はチョウの家に厄介になっているとのこと。その場は退散したものの、帰宅するチョウをつかまえたマーは、「拳銃を返せ」と迫るが、話は全くかみ合わない。その上、拳銃を失ったことを聞かされていないマーの妻(伍宇娟)は、2人の仲が復活したのではないかと疑い、嫉妬の目を向ける。何となくイライラする展開・・・。そして事件発生!何と、モンが、マーが失った拳銃で殺されたのだ。チョウの供述では、チョウも一緒に命を狙われたとのことだが、果たして真実は・・・?

美人のモンは「チョイ役」で終わっているのは残念だが、マーの妻は、マーの心の動きと合致したりすれ違ったり、結構存在感のある役だ。

 
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ラストはマーの執念

 ストーリーの展開上、拳銃の紛失について怪しいのはチョウ。しかし、どのようにして拳銃が発見されるのかは、なかなか筋が読めない。そして最後は・・・。「それなりにあっと驚く展開が待っている」、とだけ言っておこう。それにしても姜文という俳優の演技は大したもの。まだ40才位だから、これからも次々と大役を演ずるだろう。

先日予告編で見た、近々公開予定の超大作『天地英雄』にも出演しているとのことだから楽しみだ。

2003(平成15)年3月27日記